入政建築 施工例蝶庭庵(ちょうていあん)

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雑木の庭に建つ小さな木の図書館

400坪の雑木の庭に建つ10坪ほどの私設図書館。雑木の庭に馴染むような「山小屋風」の建物です

建物内も構造用合板に金具、釘等がそのまま見えますので一見荒々しい感じがしますが、良く見ると入政らしく丁寧に造っているのをお解りいただけると思います。

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建物データ
延床面積 35平方メートル(10.56坪)
竣工年月 2015年2月
工  法 木造軸組パネル工法

北面の窓は来訪者が見えてちょうどいい棚板の奥行き、高さ等、キッチリと造りこみました。これらをいっぱいにするほどの蔵書とは?南の掃出し窓は、広めの開口。ガッシリ窓枠の樹脂サッシ壁、床、天井と構造用合板表しコンクリート金コテ仕上げの土間にはミニキッチンを設けました。建物の用途がひろがります陽だまりの中の蝶庭庵。本宅と軒が重なっているので雨の日も大丈夫10mほどのケヤキが庭の広さを感じさせます

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鉄製のアンティークふうの外灯。今はピカピピカですが「錆び待ち」です。多分あっという間だと思います(^^

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杉の外壁は「よろい張り(下見板張)」というデコボコする張り方。製材したままの荒々しい木肌でわざとザラザラさせています

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厚み2.5センチの棚板。ここのところは仕口といいます。1メートルピッチでも棚板がしならない本棚をつくりました

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アイアンと木でできたBook Cotageの看板が目印です。この下を抜けると雑木の庭へ・・・

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『いりまさカフェin蝶庭庵』での1枚。楽しそうに庭の案内をしているご主人とそれを見守る奥様の図

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希少な日本ミツバチの養蜂をしています。運が良ければ自家製のハチミツをいただけるかもしれません

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「庭を一般に公開します」という看板があります!オープンガーデンを通じて、花や緑あふれる豊かな暮らしを広めることが目的だそうです

終の棲家

Book Cottage「蝶庭庵」

今、自宅いや自庭に「蝶庭庵」という書庫を建てている。
私の自宅は「屋上で象が飼える。」がキャッチコピーだった住宅メーカーのものだが、2階の二部屋が書籍で満杯である。その重量は、測ったことはないがたぶんトンでもない、いやトン単位である。東海大地震が来たら文字通り倒壊すると危惧する家人は、「捨てろ。捨てろ。」が長年の口癖である。私は「俺はいやなのさ。」と尾崎豊ばりに躱してきたが、還暦を迎えるに当たりこの問題に終止符を打つことにしたわけである。

 昨年、新潮社から「書庫を建てる」(松原隆一郎・堀部安嗣著)と言う本が出た。一万冊の蔵書と仏壇を収納するために、らせん階段を本棚が取り巻くというユニークな狭小住宅を建てるお話しだ。主人公は、東大教授と建築家である。図書館に勤務しているとこういった話にすぐに目が行ってしまう。この本を読んでから、自分が望む空間で読書したいと強く願うようになった。

 もっとも、自分が望む空間を作り、そこに住まうと言う願望は、もともと私の中にあったのだ。それは、まず庭造りに現れ、二十年間バタフライガーデンを作ってきた。私の読書は、「学生期」は、文学が中心だったが、「家住期」と「林住期」は、庭や動植物、特に昆虫に関するものが多かった。勿論、英語の教師であったから英文で読んだものも多い。残念ながら、ジャンルの偏りがずいぶんとある。「遊行期」の課題と捉えている。


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ここまできて、これは退職する校長に求められている「教育随想」にふさわしいものかという疑念がわいてきた。振り返ってみれば、校長職を離れて6年が過ぎ去ろうとしている。学校のことを語ろうとすると、人ごとのような、後ろめたいような、いや、後ろ髪を引かれるような気がするのだ。

 閑話休題。「蝶庭庵」は、私の物理的な「終の棲家」になるだろう。私の心の「終の棲家」は、勿論教壇のある学校である。それは、温かく新米教師を迎え入れてくれた浜松南高校であり、生徒指導の原点をさまよった与進中学であり、俊秀たちと理想をめざした浜松北高校であり、青春の焼き直しと勤めた母校浜松西高校であり、永遠の心のふるさと佐久間高校である。

 井上陽水ではないが、「この(教員)人生が2度あれば」と歌いたい気持ちになってしまった。それでも、「私には県立中央図書館が「終の棲家」でした。」と胸を張りたい。




谷野純夫氏  浜松オープンガーデンの会、遠州自然研究会の会員。