築40年を過ぎた二階建て住宅は、内装や設備に劣化や雨漏りの経緯がありました。「リフォームをして、もう少し長く住み続けたい」という施主さん(80代)と娘さんのご希望から、広範囲に及ぶ暮らし改善リフォームを行いました。
リフォーム内容>寝室・居間・ダイニングキッチン・玄関・浴室・洗面脱衣室・トレイの床・壁・天井交換(断熱工事)、押入れ・大型収納の棚造作・設備交換・外装補修塗装・窓交換など
築40数年、冬の寒さや夏の暑さに耐えてきた建物内装を解体すると、土壁が出てきました。建物には寿命があるため経年劣化は避けて通れないことですが、築年数の経ったお住まいもリフォームすることで、快適性を上げて暮らすことができるようになります。暮らしに直結する水まわりや外壁、設備に不具合が生じた場合は早めに改善することが肝心です。
1. 居間と広縁を合わせ、杉無垢フローリングへ
南側に広縁が付いた居間を同一空間にし、大勢で集まれるようにしました。自然素材でリフォームすることで一番に改善されるのがこの明るさ。新築やリフォーム仕立ての際は、壁の白色や無垢床の明るさが眩しいです(杉の無垢床やシナの建具色は経年変化で落ち着いた色味に変化していきます)。
2. リフォームで断熱性を向上させる
住み心地をよくするには(暑い寒いを解決するためには)、断熱性能を上げます。部分リフォームでも、壁の内側や天井裏に断熱材を入れたり、ペアガラスや二重サッシに交換することで可能になります。既存内壁の土壁部分にはしっくいを上塗り補修し、工事が絡んだ床や壁には全て断熱材を入れました。その分は、断熱性向上が見込めます。
3. 設備・内装・外装の更新
今回のリフォームでは、設備をすべて一新。屋根や外壁の修繕と共に外装も更新しました。
設備や内装の老朽化は、住環境の快適性・安全性に直接影響を与えてしまいます。快適性は徐々に損なわれるため、多くの方が気付かずに暮らされています。今回のリフォームで改善される意義は、今後の暮らしの上で大きなものになると思います。
4. お客様の希望と実際
40年前と現在とでは家族状況が大きく変化しました。築30年以降のリフォームにおいて、よくお話があるのは、「2階は要らないので減築したい」というご希望です。しかしながら、入政建築ではよく使うところに予算を掛けるようにおすすめしています。不要なところを撤去するために大きな費用を掛けるよりも、リフォームの費用対効果が上がり、結果満足度の高いリフォームにつながると考えるからです(2階の撤去は大掛かりな工事になりますので)。
そこで、30年以上使われていない「2階」と使用頻度が低い「客間(和室)」は、既存のまま(工事範囲から除外)としました。
新しい設備への入替えはもちろん、「勝手口の動線改修や片付く棚造作」「寝室の押入れ改修」「玄関の上がり框に低い段を追加」など、暮らしのリフォームでは小さくとも毎日に関わるところの改善が大事です。
当初、寝室とトイレの近接を希望されていましたが、検討中に優先順位が下がりました。断熱改修で家の中の温度が今までよりも一定になることが見込まれるため、現状のお母様の身体状態から移動負担をそう感じないだろうという結論でした。水廻りの移動を無くしたことで、その分の費用を抑えることができました。
暮らしリフォームでは・・・今のライフスタイルに合わせ快適性を上げることが重要です。先の先を考えすぎて備えても、予想外に状況が変わる場合も往々にしてあります。主は家族状況になりますが、予想できる数年先といずれ建物をどうしたいのか?というあたりを見据えて考えるのが良さそうに思います。
5. 押入れ寸法の収納を造作で使いやすく
押入れサイズの枕棚付き大型収納は、奥行きが深くてうまく使えないということでした。テレビ台を含む扉付きの収納棚を提案・造作しました。奥行きを少し余らせ、ひっこめた形になりますが、扉付きですっきりとモノが隠せる収納になりました。
6. キッチン勝手口の動線変更
キッチンから勝手口の扉が直接見えない動線にしてすっきりさせました。勝手口を遠ざけることで、寒さも回避しやすくなります。裏の物干し場に近いため、こちらに洗濯機を移動しました。新らしい勝手口のルートはもとの浴室スペースを利用しました。
勝手口の造作棚はたっぷりと収納ができる天井まで可動式の段板付き。通路を塞がずに出入りできます。洗濯小物の整理や泥付き野菜の保存などに。キッチン↔勝手口扉まで少し距離ができ、手前に引き戸をつけた分の断熱効果も期待できます。
7. キッチン配列の見直し
既存は左から冷蔵庫→シンク→ガスコンロ。新設は、IHコンロ→シンク→冷蔵庫の順としました。上部の神棚や冷蔵庫位置などを加味して決めました。また、長年キッチン前の窓から入る朝陽が眩し過ぎるとのことでしたので、窓を半分に減らすことにしました。
8. 寝室(和室)をベットが置けるフローリングに
天井、サッシ、上部収納は既存のまま。収納下にはタンスを置く予定です。床は畳から杉無垢へ変更し、ベットを置ける洋間にしました。不要になった押入れはクローゼットとして利用できるように造り替え、出し入れがしやすいロールスクリーンを取付けました。
9. 既存の建具を活かすリフォーム
「建具」はそのまま、或いは一部加工して再利用しました。本物の木を使った(プリント貼りでない)建具は、新しい材と融合して更に経年変化をすすめていきます。どちらも本物の木だからこそリメイクの価値があります。
「まるで新築」というスタイルを好まない方におすすめの方法です。場合によっては新設建具よりも高くつくことがありますので、内装に思い入れのある方に適しています。ふだん直接触れない天井も残しやすい部分になります。
廊下は、新旧が分かりやすく混じる空間です。壁補修(上塗り)、床貼替え(杉無垢)、既存建具を加工して活かしています。時を経たならではの趣が残ります。飴色になった柱や天井はあえて魅せるデザインのようにも見え、新築にはない味わいある空間となりました。
<築40年のリフォーム相場について>
一般的な築40年の戸建てスケルトンリフォーム費用相場は、30坪:1300~1800万、40坪:1600~2100万と言われています。金額幅は、リフォームする建物の規模・状態、新しくする設備グレードによります。
また、築年数が長い建物は老朽化により、床・壁・天井を一新する断熱性能改善や、間取り変更や配管等の取替など、費用が通常より高くなる傾向にあります。これは築20年前後の水廻りリフォームとは異なるところです。
「とても明るくなった」「気持ちも明るくなった」というお客様の感想からも、リフォームには、住む人の気持ちを良い方向に導いてくれる効果があります。
暮らし方が合わなくなったけれども、住み慣れた家に住み続けたいとお考えの方、無料相談会へお越しください。希望のリフォームのお話を私たちにお聞かせください。