「安心してゆっくり入れるお風呂にしてほしい。」
現状の浴室には大きな窓があり、それは隣の家と接する坪庭に面していました。坪庭を囲む2方向(玄関・廊下側)は鑑賞のためのFIX窓(はめころしの窓)で、坪庭へは出入りができない間取り。唯一、坪庭に出入りできる窓が浴室の窓。しかし、この唯一の窓も、浴槽をまたいでやっと出入りできるという状態でした。また、隣の家との境がブロック塀のみのため、外からの視線と防犯面が心配でゆっくりとお風呂に入ることができないというご相談でした。
坪庭を活かして浴室の閉鎖感を緩和しました。
以前は窓の内側にブラインドを下げて入浴していましたが、改修後は窓の向こに見える坪庭を眺めながら入浴できるようになりました。外からの視線を気にすることなく、浴室の閉鎖間も緩和されて贅沢な浴室空間になりました。
敢えて掃き出し窓のある浴室
断熱性を考えると掃出し窓2枚は必要ありませんが、2枚窓にする利点がありました。横へスライドさせればすっきり全開口になり、網戸が簡単に付けられます。普通はドアしがちな場所ですが、ドアは開けた時に(引いても押しても)場所を取って邪魔になります。また網戸も付けにくくなってしまいます。
坪庭を眺める配置へ浴槽位置を移動
坪庭への出入りが浴槽をまたがずにできるように、浴槽配置を90度動かしました。これで、坪庭のお手入れも容易にできるようになりました。入浴の際には、玄関側と廊下側のFIX窓のロールスクリーンを下げて目隠しをすれば、坪庭を眺めながら快適に入浴できます。夏場は坪庭に面した窓を網戸にして入っても安心です。
せっかくの坪庭、建築当時の狙いをリフォームで再現してみました↓
坪庭は雑草が生えにくいように砂利を敷き詰めました。周囲を囲まれ日照があまり見込めないため、日陰でも育つ低木と下草ですっきりとリニューアルしてみました。
在来工法の浴室は自由度が高い。
全体的には大きな白いタイルで清潔感のある浴室に仕上げました。天井には浴室乾燥機を取り付けました。寒い冬にはあらかじめ浴室を暖房で暖めておくことができますで、年配の方がいらっしゃるご家庭にお奨めです。
現在の浴室工事といえばシステムバスが主流です。しかし、昔の浴室工事といえば、床や壁をタイルで貼った在来工法があたり前でした。この在来工法は、周囲に防水加工を施し、その上にコンクリートなどで壁や床を造っていく手間がかかる方法です。現場で造るので、それぞれのご家庭の空間に合わせて様々な浴室を造ることができます。
それはつまり、自分だけのこだわりある空間を造ることができるということでもあります。浴槽はもちろん、床・壁・天井等、窓の大きさから位置まで自由自在にできます。手すりの位置から浴槽周りの高さなどについても自由に設定することができますからバリアフリー対策にも◎。素材についても大理石やタイル、ヒノキをはじめ様々な素材を選択することができます。在来工法で浴室を造れば、世界に一つだけ自分だけの癒し空間ができます。
安心してゆっくり入れる浴室が完成しました。既存の坪庭を活かして、暮しやすくなるリフォームをしました。外からの視線や、お掃除お手入れの問題を解決し、素敵な空間になるように計画しました。ただ、すぽっと浴室を交換するだけのユニットバスではできないリフォームの仕方です。