大工といえばノミや鉋などの刃物。
しかし現代の大工の道具は、電動工具や替え刃といったものにシフトしてきているために、刃物を砥ぐことがめっきり少なくなっています。
そしてただ「砥ぐ」、といっても、ノミ、鉋、包丁、釜…これらはすべて砥ぎ方が異なります。刃を砥ぐ角度、刃先の丸さ、砥石の細かさ等が組み合わさり、そのシーン事に適した刃に仕上げることが出来ます。
ある理料人の話ですが、料理人の包丁を大工がノミや鉋を砥ぐように砥いでしまうと、切れすぎて扱いづらくなるそうです。そして更に刃の持ちも悪くなってしまうとか。
普通に考えれば、食材よりも硬い木材を相手にしている大工の砥いだ包丁の方がよく切れると思ってしまいますよね(笑)
普段、草刈で使う鎌も、刃の角度がちょっと変わるだけで全然切れなくなることがあります。
普段から「砥ぎ」に慣れてない人向けで、便利なシャープナーというものも出ていますね。
シャープナ-に頼らず本格的な切れ味を出したい!という方は、砥石にこだわるのもいいですよ。人工の砥石(シャープナー)よりお値段は上がるものの、さすが天然の砥石。切れ味の変化を感じられるはずです。
大工の教えでは『墨付け3年、刻み5年、砥ぎ一生』と言われています。
本当の「砥ぎ」は経験と場数で上達するのです。
「砥ぎ」って、思っている以上にほんとに奥が深い。
大工 鈴木