10数年前に建替えをしました。小さい頃から住んでいる土地なので、西のここに窓を作ると夏の夕方に良い風が通るとか、南は4メートル下がれば、前の家の陰にならずに冬の1時までは日照が得られるはずなど、細かく知り尽くしていることすべてを今の家づくりに活かしました。建物配置はほぼ変わらず、廊下と客間を無くしてその分LDKを広くしました。
客間は要らない?それとも必要?
お客様はリビングへ通せばいいと考えました。家庭訪問で先生を客間へお通ししたのも遠い過去の話。以前の家には客間と縁側がありましたが、日当たりが悪かった上に使用頻度も低くもったいないスペースだと感じていました。ただ、神棚(我が家は神式)を配置するには床の間が必要でしたので、苦肉の策でリビングの一角に3畳の和スペースを設けました。西の方角で神棚の上に2階が載らないようにしたいという母(同居)の希望があり、南西のリビングの角が床の間になりました。
因みに母の部屋は東側(母の第一希望)です。親の土地に家づくりをすると、権限配分が複雑になりますね。
住んでみて分かったのは、同居ゆえに母のお客様や親せきが訪ねてくるということ。神棚がリビングの一角にあることで、リビングへお通しすことになること。またそれが、よく私の留守中であるということ。
いつもきれいにしておければよいのですが、帰宅して「○○さんが今日来てお参りしていってくれたよ」と母から聞くと、ちょっと不機嫌になる日もあります(片付けていない自分が悪い)。前もって訪問を知らせてくれるような方は、ほぼ皆無。当然、片付いていないところに「どうぞどうぞ、散らかっていますけれど(^^)」と母が調子よくお通しするところが想像できます。
「仕方ない、働いているしね」と開き直りますが、小さくても独立した客間(床の間のある和室)が玄関近くにあればそこだけで済んだのにと思うのです。自分の友人ならリビングで構わない、むしろLDKがいいのです。しかし、そうでない方の場合も往々にしてあるわけで、その想定ができませんでした。これが家づくりで一番の失敗です。
私はいつもいつもは片付けて置くことができないタイプ。必要に応じて慌てて片付ける人なのです。新築したからといってそれは変わらなくて、ちょっと生活感があるキッチンまで見えてしまうことに、こんなにもストレスを感じるとは思いませんでした。
冷蔵庫扉は30度以上開けないで
リビングからキッチンが全部見えてしまいます。言い換えれば開放感があります。これはテレビを見ながら料理することを優先した結果です。お陰でシンクに立つとテレビが正面に見えます。そのためにキッチンの向きが限定され、冷蔵庫や食器棚は背面に見える配置となりました。つまり、冷蔵庫を開けると、その中までリビングからしっかり丸見えになります。
「お客様が来ている時には30度以上冷蔵庫を開けないように!」と家族に言い渡した時期もありましたが、肝心な時によく忘れられました。キッチンが独立していた以前の家は使い勝手優先で良かったので、考えが及びませんでした。もしくは、冷蔵庫の中を整頓しておければ問題ない?いえ、だからって暮らしが丸見えになってしまうような冷蔵庫の中ってはずかしくないですか?
また、リビングに入る時の視線の先が食器棚と冷蔵庫になってしまう問題。これも大きな後悔。この場所なら、費用が掛かっても食品庫にして隠してしまえば良かったのです。それか造り付け食器棚など?新しい食器棚と新しい冷蔵庫だから置いてしまえば何とか絵になると思ったのです。新しくても生活感は隠せませんでした。
使い勝手は悪くないのですが、見映えということにあまりに無頓着だったと思います。いつかリフォームする時期が来たら、キッチン問題を改善したいと思います。
プロのアドバイス
最後に、建築士さんのいうことを聞いておけばよかったと思ったことをひとつ。リビングに窓が多すぎる問題。以前、暗い和室だったところをLDKにと考えました。明るくしたいという思いがあまりに強すぎて、窓を増やし天窓まで付けました。天窓はすごく明るいため、その分の窓を控えて壁にするべきでした。天窓が大きすぎて夏には暑さ増し増しです。「壁が無いと家具が置けないですよ」とアドバイスされましたが、これは本当。リビングに壁が少ないと落ち着きません。逆立ちする壁もないです。壁は落ち着くためにも必要です。今なら当たり前に解ることです。
実は、小さな後悔ならもっとあります。しかし、他に気に入っているところもあるのでカバーできます。自分が失敗したところも確かにあるけれど、好きなようにさせてくれた夫には感謝だし子どもたちも自分の家は多分好き。我が家は、私の希望間取りがベース。だから承知の上でちょっとおかしいところもあります(笑)
「もう1度家づくりをすることがあったら、もっとうまくできるはず」と思うのは本当です。初めての家づくりだと、何もかも叶えようとしてしまいがち。すると、どこかつじつまが合わなくなります。あちらを立てればこちらが立たずなのです。どこを妥協するかが家づくり。上手にまとめてくれるのが建築士さんではないでしょうか。
自分の希望通りの家を実現したい!と考える方が多いと思いますが、プロのアドバイスはある程度きいた方がいいと思います。私が言うのもなんですが、家を建ててみてここがおかしいとか使いにくいと思わないのは当たり前のことではないようです。
例えば、ここがすばらしいと思うところがないとしても(もちろんあるといいです)、問題なく暮らしやすかったらそれはプロの仕事だから。実際に何棟も建ててきている方が言うことであるし、例え住んではいないとしても、大切なお客様の家で一棟一棟検証を積み重ねて今があるわけですから。
家づくり、間取りには様々な考えがあると思います。「こんな(私みたいな)人もいるんだな~」と思ってくださいね。
広報 すずき