日本瓦と風雨をしのぐ深い軒、濡れ縁など「和」の要素がいっぱい。深い軒は建物の佇まいをきりりと落ち着かせてくれます。
しっかりと和の要素を備えた、美しい和風のお住まいです。雨の多い日本で軒の出が十分な家は耐久性も期待できます。
庭との関係を豊かにしてくれる濡れ縁
外観デザインの好みで軒の出の少ない箱のようなタイプの家がよく見られるようになり、いつしか純和風スタイルといったタイプの家は少なくなりました。しかしこのような中で、縁側や土間、深い軒などに懐かしさを感じ、しみじみと「いいね」と言ってくださるお客様も少なくありません。見学会でも縁にはついつい座るお客様が続出。
こちらの濡れ縁は、施主さんの希望で縁側前の土間を通れるように奥行きを浅くしています。このように外壁が無く雨ざらしになる縁を「濡れ縁」といい、室内にある板張りスペースを縁側と呼びます。濡れ縁の上部には十分な軒の深さがありますので、こちらでは雨にさらされにくく長持ちが期待できます。
中間領域であるデッキや縁、庭の大切さ
外と中をつなぐ縁のような小さなスペースには、スペース以上の楽しさや豊かさがあります。予算が足りないと真っ先にあきらめがちなデッキも、実は金額以上に入居後の生活を豊かにしてくれるものです。敷地や家が小さい場合でも、縁やデッキをうまく取り入れ、庭を含め敷地全体で家づくりを考えると想像以上に良い家になります。
ホタルが来るビオトープに
ビオトープとは、ドイツ語のBio(生物)とTop(場所)の合成語で、多種の生物たちがお互いにつながりをもって生きられる場所(環境)を意味します。建替えにあたって擁壁を造る前は、湧水の水辺あたりに毎年ホタルが来ていました。自然の生態系を取り戻してホタルを呼び戻したいと考え、ビオトープという形になりました。
ビオトープには特別なメンテナンスは必要ありませんが、今後自然に生えてくる植物のうち、「外来種」は除草する必要があります。池との違いは、在来種のメダカなどの生き物以外(金魚、鯉、など)を放流しないところ。実は入れてしまいがちなホテイアオイや、ウォーターレタスなどは外来植物。ひとまず、入政建築で育てたメダカを放流させていただきました。
薪ストーブの暖かさと換気、設置場所
薪ストーブを吹抜けに設置すると、暖気は吹抜けを上昇し2階の部屋まで暖めます。2階に上ったこの暖気は階段が通り道となり1階へ下がりうまく対流がおきるようになります。2階が暖まり過ぎず、良い具合に家の中が快適になります。冬季は2階を寝室にあてると、あたたかく休めるのではないでしょうか。
また、ストーブで燃焼した空気は煙突から常に排出され、同時に給気口や隙間から新鮮な空気が入ります。エアコンやファンヒーターのように暖めた空気を循環させるだけのものと違い、常に新鮮な空気が入ってきます。
設置場所は、家族が長く過ごすリビングにしたり、薪ストーブで頻繁に料理をする方ならキッチン近くにするなど生活動線で決めます。また、薪ストーブ本体が熱くなってしまうため、周辺の壁や床は防火、防熱対策を施します。壁から最低限空けなければならない「離隔距離」というものがありますのでぴったりと壁に寄せることはできません。こちらでは、壁に遮熱板を使って壁との距離を縮めています。