焼杉の外壁は、落ち着いた風格があり重厚感がある自然素材です。一般的でこそありませんが、昔から日本で使われている素材です。ガルバリウムやサイディングの壁よりインパクトが強い黒い建物になります。価格的にも、とびぬけて高いというわけではありませんので、最近では和風や和風モダン好きな若い方にも好んで使われるようになりました。
焼杉とは、杉板の表面を焼いて炭化した層を作ることで、杉板の耐久性を格段にアップさせたものです。またこの炭化層は、昔から防災・防火のメリットのある外壁という意味でも使われてきたそうです。昔からあるもの、残っているものにはいいものがあることが多いですね。
メンテナンス面では、経年変化(雨や紫外線)により炭化層が削り落とされてしまうと、素地が見えてくる部分があります。しかし、大きな変化はあまりないそうです。そういったところから、塗替えが必要な外壁材に比べ、メンテナンスの手間が掛からない外壁だと言われています。部分補修ができる永遠素材なので、好みさえ合えば、長い目で見てお得ということが言えそうです(10年経ったら古い製品は製造中止になっていて手に入らない。仕方ないから外壁全体を改修したということが他ではあり得る話です)。
しかし、焼杉板は表面が炭化層なので、触れると煤(すす)が付きます。竣工時だけでなく、そこに壁がある限りずっとです(初めて見る方は、多分誰もが触りたくなります)。初めだけと思われている方がいらしたらそれは違いますので。
建物の出入りの多いところは他素材の外壁にするといったデザイン面での工夫が必要になります。
関連施工例:継承される日本庭園と新しい焼杉の家/浜松市西区大久保町
入政建築の焼き方は、昔ながらの「三角焼き」。3枚の板を合わせ、三角柱を作ります。それを縄で縛ってから、中にカンナくずや新聞紙を入れます。
この三角柱を垂直の立てて下から点火します。中がぼぅぼぅと燃えて上部から煙が上がります。
これを人が支えて燃やすという大変な作業ですが、特に設備も要らないので、やる気と場所さえあれば自分たちでもできるわけです。
【参考】工場生産の焼杉は、主に表面をバーナーで焼いたバーナー焼きという製造方法。バーナー焼きの場合は表面の炭化層が薄く、表面の素地が数年くらいで見えてしまうものもあるそう。
焼杉の外壁を長持ちさせるためには、炭化層を厚くし、建物の軒を風雨から守るために深く出すことが肝心。炭化層の出来具合はどうでしょうか?
自社で製作する意義は、自分たちでできることなら当然というスタンスでやっています。手間の掛かる大変な作業ですが、お客様が外壁を選ぶ際のひとつに足していただけたらと思います。家のメンテナンスの中でも外壁にかかる費用は特に大きいですよね・・・
広報 すずき
次回、完成見学会の建物でも焼杉外壁を取り入れています↓
予 告≫
10/31(土)・11/1(日)「子育て世代、洗濯動線の良いサンルームのある家」完成見学会@浜松市西区神ヶ谷町