海外施工例でよく見られる玄関収納のひとつにウォークスルークローゼットがあります。以前、土足文化の海外事例を日本の生活にそのまま取り入れることは程遠いと感じるところがありました。しかし昨今では、日本らしい土間と床上の両方を備えて通り抜ける形で取り入れられており、機能的に玄関を計画される例がたいへん多くなりました。
ウォークインとウォークスルー玄関の違い
人が入り込む点ではウォークインのクローゼットと共通していますが、ウォークスルーが異なる点は、玄関の中に入ってから2つ出入口を設けて通り抜け(スルー)できるところです(ウォークインタイプの方は、玄関収納庫をイメージすると区別しやすいでしょう。こちらは出入口が一つ)。
家族はゲスト用の玄関とは別の日常的な収納空間の方を通って入室します。空間的には、玄関土間内に壁を設けて仕切る形です。空間をきっちりとは閉め切らずに、土間を連続させて見えるように計画すると、玄関を広々と見せることができ、明るさ確保や通風のためにもよいでしょう。
例えば、花粉やウィルスが付着したコートや上着は、家の中に持ち込みたくないと考える方が多いと思います。ここで脱いでコート掛けに掛けます。その他、帽子やかばん、サングラス等の収納場所にも適しています。整理整頓のためにリビングや廊下の生活動線上にこれらの収納場所を設けることをおすすめしていますが、家の中まで敢えて持ち込む必要がないものは、玄関のクローゼットへまとめておく方が便利。毎日のように、持って(着て)出かけるようなもののすべては、出入り際に通る場所に定位置を決めれば、行方不明になることも防げるはず。これは特に鍵や財布あたりを思ってのことですが、玄関先なので防犯対策をしっかりする必要はあります。
そして、玄関のシューズクローゼットを大きく計画する場合は、家の中に占める他の収納量を減らすように努めましょう。大き目のシューズクローゼットは、モノの収納位置をより便利なところへ移動するだけの話で、家全体の収納量を玄関で増やすことをおすすめしているわけではないからです。収納スペースが居住スペースを圧迫してはいけません。
一方、ウォークスルーシューズクローゼットのゲスト用の玄関については、家族が使わないことが前提。掃除さえしておけば、いつでもすっきりとキレイを保てます。「使わない=散らからない」からです。片付けが苦手な家族にも、このルールなら死守できそうでは?
プラス最近のお奨めは、ウォークスルー部分に小さな手洗いシンクを設置すること。帰宅後、ここですぐに手を洗えるのは、ウィルス感染対策として有効です。小さなお子様やペットのいるご家庭も、それぞれの用途に合ったシンクを設けると使い勝手が良くなりそうです。
日常的に使う方のウォークインクローゼットは、オープンスタイルにしておくと出入りしやすいです。湿気対策にもなります。中が雑然と見えてしまうのが気になる場合は、ロールスクリーン等で対処を。
ライフスタイルに合った玄関収納を計画しましょう。
どなたも大きくて便利そうなウォークスルークローゼットをぜひ設けたいと考えてるかもしれません。しかし、家づくり計画の中では、他スペースとの関係を考えて配置しましょう。そして、収納したいもの、家族で使うことをイメージして有効なものを計画しましょう。特にウォークスルークローゼットを使いこなすためには、家族の新しいルールが必要になります。
最後に、ウォークスルークローゼットは、片付く家にするための玄関収納です。広いスペースを確保するのが難しい場合は、玄関壁面全体を利用する棚等、別の形で玄関収納を充実させる方法もあります。住まい全体計画のバランスを考慮して、ライフスタイルに合った使い勝手の良い玄関収納のタイプを選択しましょう!
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