敷地条件を生かしたスキップフロア、景観の良い2階リビングの家。
外からの視線を遮りながらも景色が楽しめる。光と風を取り入れる快適な暮らしは、窓と視線の抜けのある設計から生まれます。
浜松の中でも閑静な文教地区。その土地は進入路となる西路面からは一段低く、東側2メートル下には緑豊かな遊歩道が通っていました。ご夫婦が温めてきたお住まいの構想は、この斜面地だからこそ叶えられるものでした。
設計より
設計が決まっている施工のお話をいただきました。厳しいご予算でしたので、正直にこのま図面通り建つことは無理だということをお伝えしました。T様からは、今まで相見積りをされたことや、予算に見合うところがないために図面の書き直しをしてきたというお話もうかがいました。 私たちは、T様が熱心に家づくりの勉強をされていたことや、入政の施工を見てここで建てたいと思っていただいたこと。そして何よりも、家づくりに対する熱意が感じられましたので、なんとか考えてみましょうとお受けしました。家づくりは共同作業、私たちも「こういう施主さんとならいっしょに仕事をしたい。そして私たちが丁寧に造る良い家に住んでもらいたい」という気持ちになりました。
□予算調整について
分かりやすい調整としては、構造材を入政建築の標準から変更したことです。つまり仕様を少し落とさせていただきました。だからといって強度に問題が出るわけでもなく、直接人が触れるところの素材は一切妥協していません。他にも施工しやすいように(大工の手間がかからないようにという意味です)図面を変更していただくよう、設計事務所側にいくつか提案させてていただきました。この件につきましては、T様の友人でもある設計事務所の建築士さんにT様がうまく受け渡しをしてくださったのでスムーズにできて有り難かったです。 そしてご主人が、内壁の塗装すべてを施工されたこともそのひとつです。デザイナーというお仕事柄、妥協を許さなかったようで、見学会の時にも「まだ実はやり切れていないところがある!」とおっしゃっていました(わたしたちが驚いたほどの出来栄えだったにもかかわらずです。極めてしまったのですね?)。私たちはというと、この壁の仕上がりを見て「自分にもできそうだ!」と簡単に思ってしまう施主さんが続出しそうで心配でした。
□最後に
家が出来上がるまでの長いプロセスには、ずいぶんご苦労があったことと思います。設計と施工を別々という選択をされた時点で、ある程度ご自分たちの負担が大きくなることは理解していらしたと思います。しかし、思い描いた家の構想が形になっていく面白さというのは、それ以上だったのではないでしょうか。家が出来上がって行く途中や出来上がった時の達成感、満足感はきっと人一倍ではないかと思います。